要注意!食べる量とエネルギーは伴わない

栄養について

低栄養の患者さんのミールラウンド(食事観察)を病棟でしていると、看護師さんによく聞かれたことがある。食べる量と栄養価の見解の違いの話。

100kcalもの差が!!お茶碗一杯は十分な量?
「この患者さん、全量食べてるから足りてるんじゃないの?」と看護師に言われる。食事量を見てみると、確かに見た目には全量摂取されている。でも、栄養士の視点からするとまだ足りないので「量を増やすか、+αの栄養を追加することが必要です」と返事をすると最初の頃は不思議がられていました。
同じ量を食べた時、主食がお粥と米飯でどのくらい違うかご存じですか?実は、茶碗一杯当たりの量は100kcal程度差が出るのです。普通のお茶碗に普通に盛ると、ご飯の量は150gでお粥は200g程度です。お粥の方が量は多いですが、水分量が多いためにもちろん栄養価は少なくなります。これが1日3回もとなると300kcalの差になるのです。300kcalの差は大きいですよ。300kcalの不足を1ヵ月続けると、体重が1㎏強減る可能性だってあるんです。
確かにお茶碗いっぱいの量を食べていたら、栄養量は足りる気もしますよね。量ではなく、栄養価の質まで見ているのかで、看護師と栄養士の見解の差がありました。
食の細い高齢者に茶碗一杯以上は無理!
高齢期になってくると段々と食が細くなってきます。食が細くなってしまう理由は様々。胃腸機能の低下や噛む力・飲み込む力の衰え、精神的なもの、薬の副作用などなど。ご飯とお粥分の栄養価の差を埋めようと思うと、量を増やすか、栄養価を足す工夫をするかのどちらかになります。大概の方は、今食べている以上の量を食べることは不可能なんですよね。
「栄養が不足しているので摂る栄養量を増やさないといけないですね」という話になると、やはり本人さん自身も「食べてるのにどうして足す必要がある?」という疑問をお持ちになられます。そして「これ以上は食べれない、だから今のままで良い」と言われます。
食べ盛り育ち盛りの中高生の栄養指導ではないので「足らないよ。どんどん食べよう!」なんてことは言いません。食べる量をあまり増やさなくて済むように工夫の仕方は色々あるんですよ。
少量で栄養価を高める方法
1.油脂製品を使う
油と聞くと胃がもたれそう…と思われるかもしれませんが、消化・吸収の良い油もあります。MCTオイル(中鎖脂肪酸油)がその一つです。普通の植物油と違い、無味無臭でサラッとしているので和えたり混ぜたりする料理に使いやすいんです。いつも飲んでいる飲み物に入れても良し、サラダやヨーグルトにかけても良し✨油は1gで9kcalものエネルギーがあるので、エネルギー補給の強い味方です。特別なものを使いたくないなぁという方は、マヨネーズでも良いです。お浸しをマヨネーズ和え、照り焼きをマヨネーズ焼きに変える等、ヘルシーになりがちな料理をマヨネーズで栄養価アップできます。
2.食品の置き換えをする
朝飲んでいるブラックコーヒーをカフェオレにする。牛乳を飲んでいるならココアにする。たったそれだけでエネルギーもたんぱく質もUPできます。いつも飲んでいる物がお砂糖やミルクを使わない飲み物なら、それらを足すだけで良いので量を増やさなくて済みます。
3.ちょい足し
きな粉、ごま、削り節、かつお粉など、ほんの少量でもたんぱく質がプラス出来る食材をちょい足しするのもおすすめです。
食べる量ではなく、内容を見てみよう
食事の観察ポイントとしては、量だけではなく内容も見て欲しいです。ヘルシーな内容だと沢山食べたとしても、意外とエネルギー・たんぱく質が足りていない可能性もあります。また、本人さんが「お腹いっぱい」と言った量が適量だとも限りません。お腹いっぱいと言っても食べている量が少量であれば、栄養価を高めてあげる必要があります。食が細くなっているのに無理に食べさせるのはかわいそうだという声も聞こえてきそうですが、決して無理には勧めないで下さいね。食事は楽しむもので、苦しみながら食べるものではありません。無理しないようにどうすれば食が細い人でも食べられるのか、悩んだら栄養の専門家に相談してみましょう!きっと色々なアドバイスをしてくれると思いますよ。
当社食サポオンライン栄養相談サポートでも、ご相談に乗れますのでお気軽にお問い合わせください✨
 
 
 
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