高齢者の介護をしていると、こんな経験ないですか?
『ちゃんと食べてるって言っている割には、痩せていくのが気になる』
ちゃんと食べているの「ちゃんと」ってどんな量でしょうか?
適量でしょうか?
今日は「食べている量」=「十分な量」ではないというお話。
私たち管理栄養士の癖で
痩せている人を見ると低栄養を疑い、
太っている人を見ると過栄養を疑います(苦笑)
体型は一番分かりやすい栄養の指標ですから。
食べているはずなのに痩せる
食べていないはずなのに太る
は、比べた基準は何ですか?
低栄養の高齢者に食べている量を尋ねると
だいたいの方が「ちゃんと食べてますよ」
ご家族に聞いても「普通に食べてますよ」
と答えられる方が多いんです。
では何をどのくらい食べていますか?と問うと
人によっては
「ご飯と味噌汁で十分お腹いっぱいになる。そう言えば体重減ったわね」
食が細くなる高齢者は沢山いらっしゃいます。
お腹いっぱいになる量が適量ではなさそうですね。
「働き盛りの時と同じくらい食べている。でも、体重は減ってしまう」
あれ?しっかり食べているのに、これもまた適量ではないんですね。
併存疾患があれば、消費するエネルギー量が人よりも多い方もいます。
よく聞かれる「カロリー」 体に入るエネルギーの量。
これも実は単純な話ではないんですよ。
同じ体系の人が同じ栄養量をとっても同じだけ消費されるとは限らないから。
では、あなたにとっての「適量」な食事量はいったいどれくらいなのでしょうか?
一番簡単に分かる量は、
『標準体重又は健康時の体重を維持出来る量』です。
適量を知るのに
量を量ったり、栄養計算をしたりしましょうというのではありません。
標準体重とは、BMI18.6~BMI25くらいです。
BMIの計算方法は、
BMI(㎏/㎡)=体重(㎏)÷身長(m)2です。
身長160㎝で50㎏であれば、
50÷(1.6×1.6)=19.5となります。
ちなみにですが、最近では高齢者の場合はフレイルや低栄養予防のために
BMIは20以上あったほうが良いと言われています。
健康時の体重も入れているのは、中には体質的に太れない方もいるから。
太れない体型の方は、20~30代の健康な頃と比べて
体重が下回っているかいないかで判断すると良いです。
元々標準体型であっても、年々痩せているというのでは体重は維持できていません。
肥満があってダイエットをした、という理由以外で体重が減ってしまうのは注意が必要です。
低栄養を見逃さないためには、体型を見た時に
対象者の「ちゃんと食べています」の言葉を鵜呑みにするか、
次のアクションへと繋げるかにかかっています。
体重が落ち切ってからでは改善が難しいですし、本人さんも辛い思いをすることになります。
体重を普段から量る習慣がないし、体重計がないからどうするの?
という場合は、服のサイズで判断することもできますよ。
お腹周りが緩くなったとか、太もも周りがすごく余るようになった
など、着心地で分かるかと思います。
おじいちゃん、おばあちゃんの体重が減ってきてることが分かって、
食事も十分な量ではなさそうなことが分かったらどうしたら良いの?
原因が単純な知識不足であれば、
しっかり食べることを伝えてあげると良いでしょう。
でも、高齢者の場合は単純ではないことの方が多いのです。
難しいな、と感じれば食の専門家である管理栄養士に相談しましょう♪
介護者に知っていて欲しいこと
「食べている」=「十分な量」ではないこと。
その先に起こる低栄養を防ぎましょう!!