高齢者こそ知ってほしい! 低栄養が引き起こす健康リスクと対策

栄養について

私は長年、高齢者の栄養ケアに携わっているので、低栄養の怖さを嫌なほど思い知らされています。

何度も繰り返しの話になるけれど、大切なことなのでまたブログに書いちゃいます。

【低栄養とは?】

低栄養とは、必要な栄養を摂取できないことによって、身体に必要なエネルギーが不足する状態を言います。 疲労感、食欲不振、筋肉量の減少、体重減少や​​栄養不良、免疫力低下などの症状が現れ、健康状態が悪化したり、身体の機能や認知機能が低下する原因となります。

【高齢者における低栄養のリスク】

食が細くなる、味覚の低下、飲み込む・噛む機能の低下、胃腸機能の低下、認知機能の低下、運動量の低下、薬の副作用などの様々な要因によって、必要な栄養を十分に摂ることが難しくなってきます。 若い頃なら一時的で済む食欲不振も、高齢期になると、何らかの対処をしないとそこから悪循環が始まってしまいます。ほんとに些細なことがきっかけで負の悪循環は回り出すんです。そこが怖いんですよね。

低栄養は、高齢者において身体機能の低下や健康リスクの増加につながるため、要介護状態となる要因の一つだとも言われるくらい重大な問題です。 低栄養が慢性化してしまうと、認知機能や筋力が低下してしまったり、免疫力が低下することで感染症などの合併症が発生しやすくなります。その結果、入院や介護、死亡などの健康リスクが高くなってしまいます。

【低栄養対策】

低栄養を防ぐには、まずは食生活の見直しが必要です。 食欲がない場合は、無理せずに少量でも栄養を取れる方法も色々あります。食べるよりも、飲む方が楽であれば、スムージーやポタージュなどの飲む食事を取り入れたりしてもよいですね。食事を5~6回に分けたり、間食を上手に活用することでも1日を通しての摂取量を改善するには有効です。減塩や糖質制限を厳しく守っているのであれば、制限を緩くすることも必要です。最近の治療ガイドラインでは高齢者の低栄養やフレイルの対策も踏まえ、食事療法に関しては厳しくしないようになっています。そして、食事を楽しむことも必要ですね。「食べなきゃ!」という強迫観念で食事をするのではなく、リラックスできる環境下で食べることも必要です。 栄養バランスはもちろん大事なのですが、食が細くなっているのであれば、最初はとにかくエネルギー確保を優先しましょう。栄養バランスはその後です。

食が細くても優先して摂って欲しいのがたんぱく質。高齢者は筋肉量が減少しやすい傾向があるため、たんぱく質の摂取量は不足しないように摂る必要があります。肉や魚、大豆製品、卵などのたんぱく質が豊富な食品だけは優先して食べましょう。若い頃のように体を動かさないから、そんなにたんぱく質を摂らなくても…と思うかもしれませんが、実は必要量は若い頃とそんなに変わらないんですよ。なので、食が細くなっている時には意識して摂らないと不足しがちな栄養素になってしまいます。

美味しく食べるためには、口腔ケアも重要です。高齢者は歯や口腔の健康状態が悪化する傾向があります。お口の中が不衛生な状態だと味覚へも影響しますし、何より誤嚥性肺炎のリスクを高めてしまいます。また、お口のお手入れに自身があってもなくても、定期的に歯科受診はしておいた方がよいですよ。

また、適度な運動も大切です。動かないと食欲も湧きませんしね。そして筋肉量を維持するためには、たんぱく質の摂取と共に適度な筋力トレーニングや有酸素運動を行うことが効果的です。筋トレと言っても若い人たちのような激しいトレーニングは必要ありません。少し疲れるなぁくらいの強度で毎日継続できるようなものを選んでください。椅子の立ち上がり練習だけでも効果は期待できます✨

【まとめ】

高齢者の低栄養は、些細なきっかけを見逃してしまい慢性化すると重大な健康リスクを引き起こす可能性があります。年を取ったら食が細くなるのは当たり前と思わず、年を取ったら如何に食べるかを常に意識しましょう。

 
 
 
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