栄養相談をもっと身近に!

はるのひ日記

初めて新規高齢者施設の栄養ケア介入に当たった時のこと。

 

施設の看護師さんにこう言われた。

もっと早くに相談すれば良かった。

栄養士さんってこんなことまで分かるんですね。

〇〇さんの栄養状態が悪くなっていっているのは分かってたけど、

自分達では何が原因かも分からなかったし、

どうすれば良いのか分からなかった。」

 

私は元々病院勤務だったので、他の職種とのチーム医療が当たり前だった。

他の職種の方が見つけたちょっとの気づきに各々の専門家が

フォローし合うのが当たり前だった。

 

地域に出てみると、その当たり前が当たり前じゃないことに気づかされる。

 

入所の高齢者施設とは言え、ケアに関わる職種は限られている。

お家だとなおさら。

ケアに関わる職種はそれぞれあっても、同時介入がないので

職種間の連携はしづらいのが現状。

ちょっとの気づきぐらいなら見過ごされがち。

 

見過ごすことが悪いんじゃない。

気に掛けることは出来ても、その職種の方は時間内に自分たちの役割を果たさないといけない。

だからどうしても専門外のことは後回しになるのは仕方のないこと。

 

そして、気づきを連携しようにも栄養に関してはもう一つ課題が。

全国的に地域に管理栄養士が不足していること。

各地域に管理栄養士が居ないところの方が圧倒的に多いから

栄養の相談は「栄養士さんに相談しよう!」じゃなくて

お医者さんや看護師さんの役割になってしまう。

 

先に紹介した施設もその状況。

看護師さんは「おかしいな、どうにかしなきゃ」と思ってくれていた。

点滴や、栄養剤の処方を主治医にお願いしてくれていた。

多くの場合は、ここで完結何だろうと思う。

 

しかし、主治医はそこに疑問を持ってくれて私に依頼を下さった。

「食事は全量食べれているのに、体重が減る理由は?

 点滴や栄養剤をむやみに処方するのは違う。

 原因を解決しなければ意味がない」

 

私の開業間もなく頂いた依頼。

看護師さんは半年以上も悩まれていたそう。

それを私が初回の訪問だけで体重減少の原因を推定できたので、

看護師さんも主治医もとても驚かれていました。

 

多分どこの施設でも在宅でも

お医者さんや看護師さんが栄養のアドバイスまでされているので

「栄養に関しては困っていない」というのが現状なのだと思う。

 

では、困っていないのは誰でしょう?

関わっている介護者だけではないでしょうか?

根本的な課題の解決が出来ていないと

本人さんは困ったままなのです。

 

そして、高齢者の場合栄養状態の低下や変化は急激に起こるもの。

早めの介入が必要なんです。

 

私もこの施設で、当初お二人の介入依頼を受けていました。

重度の低栄養状態。

すぐに対応が必要と思っていた矢先、次の訪問を待つ間もなく

お一人は「老衰」というかたちでお亡くなりになりました。

 

最期まで口から食事を食べていた方。

私の介入が、もう半年早かったら…なんて、

思い上がりかもしれませんが、後悔が残りました。

 

施設の看護師さんには

「地域に管理栄養士さんがどこにいるか分からないから

栄養の相談をするにもどうしたら良いか分からない

もっと身近にいてくれたら

と言われました。

 

栄養のことを相談できる場所をもっと身近に。

そんな思いでオンラインでの栄養相談を始めました。

 

栄養指導も栄養相談も何か敷居が高いと言われることもある。

ただの「指導」、ありふれた「相談」だったら専門家はいらない。

教科書通りならリーフレット一枚配布して済むから。

 

一人一人生活は違うし、嗜好も違う。

併存疾患も違う。体質も違う。

環境も違う。食に対する考えも違う。

複雑に絡み合う課題を紐解いていくのが専門家の役割。

 

栄養に関してなかなか上手くいかないことがあれば

栄養の専門家である管理栄養士を頼ってみてくださいね。

 

もっと身近に。

きっと頼りになります。

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